快削黄銅C3604板(真鍮)のマシニング加工t4×310×310のマシニング加工
某有名炭焼き店からの注文で製造しました。
写真を使用し、工程を順を追って説明します。
完成品
1工程(センター加工)(リーディング加工)
センター穴加工用の工具でエンドミル(Φ5)の入る下穴位置に深さ1mm程度の穴を開けます。
ドリルは思うより柔らかい(しなりが有り柔軟)為、ドリル加工の前に穴位置にとっかかりを
作ります。
ドリルの食いつき時に(入り始め)曲がったり、ずれたりしないで加工ができます。
(正確な位置に穴あけが出来ます。)
リーディングドリルは、ドリル穴加工前のセンターリング(もみつけ)加工と、
面取り加工の2つの加工をする事が出来ます。
センターリング加工は、穴あけ加工の位置精度を向上させる効果が有り、
面取り加工にはタップでのねじ立て加工時の端面のかえりを防止したり、
穴加工にともなって発生するバリを取り除く効果があります。
下記にNACHI 株式会社不二越様のドリル加工前のセンターリングについてを紹介します。
ドリル加工前に、位置決め精度を確保したり、穴拡大を抑えたり、ドリルの食いつき性を
よくするためにセンタリングを施します。タップ加工のための面取りとセンタリングを
兼ねて施すこともあります。
一般的に、ドリルの先端角に対してセンタリングの面取角は同じか大きくするようにする
といわれます。同じ意味で、前述のタップ加工用の面取りを兼ねたセンタリングは
ドリル加工にとって好ましくないとしておすすめしておりません。
使用される機械、ホルダー、加工材料の形状や表面性状などいろいろな要因によって、
面取角やセンタリングの大きさの影響を受ける場合もあり、受けない場合もあります。
なんらかの不具合を想定して、センタリングを意図的に大きく偏芯させてドリリングした場合に、
穴精度にどのような影響があるのか実験してみましたので紹介します。
ドリル先端角135°に対してセンタリングの面取角を90°、140°。
センタリング径がドリル径よりも大きい場合と小さい場合。0.5mmni芯ずれさせてセンタリング加してみました。
結果は、穴の芯ずれ量、穴拡大量ともに90°が大きく、140°はどちらも良好。
センタリング径を小さくすることで、90°でも穴拡大量はおさえられる結果となりました。
面取角をドリル先端角と同等又は大きくできない場合には、センタリング径を小さくすることで、
ドリル加工の不安定要因を少し取り除けられるようです。
ドリル加工の前に深さ1mm程度のセンター穴を開けます。
(取っ掛かり程度)
2工程(ドリル加工)
センター加工と同じ位置にエンドミルの下穴としてドリル加工をします。
一昔前にはエンドミルはZ方向(深さ方向)には入りにくく、良く欠損や折れたりしましたが、
最近はZ方向に加工できるエンドミルもあります。
今回はチャッキング(固定方法)がボルト締でずれたり外れたりが怖かった為この様な工程にしました。
しっかりチャッキング出来れば1および2工程目を省く事が出来、大幅なコスト削減になります。
ドリルも最近は各材料用のドリルがあり、穴深さ等を含め、多種多様です。
今回はエンドミルの下穴用の穴あけの為、何にでも使えるドリルを使用します。
3工程(エンドミル)
エンドミルはドリルと違い、Z方向(深さ)では無く、側面の刃で削る事になります。
X、Y方向(縦横斜め)
外周がΦ250の右側から4mm深さ入れ、左にΦ150の位置まで削り0.9mmに
上げさらに左に削ります。
板の厚みが4mmの為、一度に4mm加工しようと思いましたが、
クランプが弱そうなので2mmづつ 2度に分けました。
ここでさらに固定用のボルトを増やし最終工程としてΦ300にくり抜くと
マシニング加工は直線と、円弧の組み合わせで加工し、プログラムで制御します。
ボルトを外せばページの先頭の見た事が有る様な無い様な形状になります。
マシニング加工における要素は簡単に説明するとこうなります。見積もり要素
1.材料の固定方法(治工具)を考える。
→どのような方法で固定すれば早く綺麗で正確にできるか?
図面の要求を満足できるか?(寸法、面粗度)
2.材料寸法を考える。
→小さければ材料費が安くて済むが固定の位置が微妙になり作業性が悪くなる。
ちなみに材料は材料屋さんに頼みます。
規格のサイズ(寸法の)材料があるか?
図面中の要求は?
3.工程を考える。
→安く早く正確に綺麗に
どの順番で加工すれば図面の要求を満足するか?
4.刃物を取り付け補正(機械内部の位置)する。
→長すぎず短すぎず、また、取り付ける刃物を選定する。
5.図面に基づきプログラムを作る。
マシニング加工(MC加工)は大まかに言ってこの様な手順をふみます。
見積り手順は
1.材料を決める。
材質、サイズ、等を含め、規格品の材料が有れば安く加工出来ます。
2.チャッキングを決める。(材料の固定方法)
バイス、コレットチャック、治工具を製作して固定する。
3.加工手順を決める。
図面からどのように加工すれば良いかを決め、加工時間を決める。
以上の積み重ねになりますが、各工場で向き不向きの材料及び形状が有る為、
様々な見積りが出ると思います。
最近では材料費、油、工具すべて値上がりしていますが、なかなか加工費は上がりません。
こんな加工できるかな?とか、こんな安いのは失礼だとか、考える前にぜひ弊社に
見積りさせてください。
形状、数量、いろいろな要素はありますが、当たればまだまだ安く良い部品を手に
入れられると思います。
以上で加工は終了です。
皆様お見積り、ご相談お待ちしております。